HRT(ハート)が形になっている場所
この記事は
フィヨルドブートキャンプ Part 1 Advent Calendar 2020 - Adventar 25日目、最終日の記事です。
Part2もあります → フィヨルドブートキャンプ Part 2 Advent Calendar 2020 - Adventar
アドベントカレンダーは2つとも満席です。
昨日の記事は lime1024さんのフィヨルドブートキャンプを卒業して転職していました - らいむぎばたけ
でした。
それでは「HRTが形になっている場所- フィヨルドブートキャンプ(と大名エンジニアカレッジ)」を始めます。副題は「Team Geek」を読んで。
今日書こうとしていること
フィヨルドブートキャンプ(と大名エンジニアカレッジ)は、Rubyコミュニティの一つです。そしてとても楽しいところです。コミュニティが良いからと言う理由で、Rubyistを目指してもいいのではと思うほどです。
(これ以降は「フィヨルドブートキャンプ(と大名エンジニアカレッジ)」を「フィヨルド(大名)」と短くさせていただきます。)(1)
わたしが「フィヨルド(大名)」に入ってみて、予想外でびっくりだった(いい意味で。)ことについて、伝えられるといいなぁと思って書きました。
読んでくださる方として
一番多いのは「フィヨルド(大名)」関係者。
➡︎ わたしのことをよりよく知ってもらえる機会。「フィヨルドブートキャンプ」が良さそうと思って気になっている方。
➡︎ できるだけ「フィヨルド(大名)」が、HRTなところだと伝えられます様に。わたし同様、重要度が高いのに「それはやっぱり現実には無理なのかなぁ、、、」と思っている方に尚更。あとは、もしかしたら後にわたしの採用を考えてくださる方。
この3タイプの方を思って書きました。
あ!忘れるところでした!わたしは現役の「フィヨルド(大名)」受講生です。
最初の頃の日報
わたしの、フィヨルド(大名)が始まったのは9月28日となっています。初期の頃の日報を読み返してみました。
初日
ついにキャンプインしました。何と居心地のよい。嬉しいです。
まだ「日報を書く」まで終えていませんが、「学習した日は日報を書く」ということだし、書きたかったので初日報です。自己紹介を何度も書き直して、我ながら「もういいかげんにしたら、、、?」とも思いましたが、、、
フィヨルドブートキャンプでは、プログラミングの勉強はもちろんですが、独りよがりでないアウトプットやコミュケーション、チームでのお互いの振る舞い方、、、などなどをきちんとできるようになるための場だとも思っていて、、、
後半部、今読んでもこれは的確に的をついています。ただ、これだと入会前から知っていた様な書き振りですがそれは違う。予想外でびっくりしていたはずです。
積極的にコミュニケーション取ろう(それも学習のうち)というのが、「え?いいんですか?」と新鮮な驚きでした。
別の日
「アウトプットを時間の無駄だと思わない。」
自分が言いたいことを書く場合も、それを受け入れてもらえる様に書く工夫。(賛同してもらえなくても、「そんな意見もあるかもね。」と、読んでもらえる様に。)
(ここまではまとめです。)
これって書いてみると当たり前のことなのに、こういうことを工夫してなかったぞ。何やってたんだ。
(これもまとめ)
「ネット上でのコミュニケーションになれよう。」
とにかく
- コミュニケーション
- テキストによる表現力を上げる
ことが強調されていて、このやり方はたまたまわたしに合っていて注意していないと楽しすぎてやり過ぎ、本末転倒になってしまう。本来の目的は「現場の即戦力になれる」プログラミング力の取得です。
なのですが!次に書いていくHRTのことを知るために「Team Geek」を読んで、どうしてコミュニケーションについてこんなに「がんばろう!」と重きを置かれているのか分かりました。 結論を書くと、「現場の即戦力になれる」ために、コミュニケーション力は大事なスキルだったのです。ただ大変な勉強を楽しく続けるためではありませんでした。
HRTについて
「HRT」をご存知でしょうか。
わたしが初めてHRTについて聞いたのは、N予備校「プログラミング入門 Webアプリ」コース授業の最初の回でした。今回、ご承諾を得て引用させていただきました。
プログラミング、そして IT エンジニアの世界では多くの人が協力し、お互いのことを尊重しながら開発を進めています。また、協力や尊重がないと成り立たない世界であるとも言えます。
IT エンジニアのコミュニティには HRT 原則(ハートげんそく)という言葉があります。 優れた開発チームやコミュニティには以下の 3 つの原則が大切にされているといわれています。
( N予備校 プログラミングコース【2020年度】プログラミング入門 Webアプリ 第1章のはじめに)
HRTとは
3つの柱から成り立っています。
1. 謙虚(Humility)
世界の中心は君ではない。君は全知全能ではないし、絶対に正しくもない。常に改善していこう。
2. 尊敬(Respect)
一緒に働く人のことを心から思いやろう。相手を1人の人間として扱い、その能力や功績を高く評価しよう。
3. 信頼(Trust)
自分以外の人は有能であり、正しいことをすると信じよう。そうすれば、仕事を任せることができる。「Team Geek」(2)15Pより引用
HRTについて、講義・LT合わせてこれまで3回聞く機会があったのですが、3回目の時に「あれ!わたし今まさにこういう世界にいる!」と気がつきました。電気がピカッと点いた感じでした。「フィヨルド(大名)」のことです。そういうコミュニティに所属できているんだ。どこかにあるかもしれない理想をいいなぁと思って憧れているんじゃない、嬉しいなぁ。
コミュニケーションがなぜそんなに重要なのか?「Team Geek」を読んで
HRTについては先にも引用で挙げたように、「Team Geek」という本に載っています。
「Team Geek」にはミッションステーメントとして
本書の目的は、プログラマがソフトウェア開発を効果的かつ効率的にするために、他人の理解・コミュニケーション・コラボレーションの能力を向上させることである。
と、あります。「Team Geek」(2)ⅩIⅩpより引用
ソフトウェア開発はチームスポーツである。
- 天才プログラマの神話は誤解。
- 隠していたらダメになる。
ソフトウェア開発のイメージってどうでしょうか?
わたしはそれぞれエキスパートなプログラマーやエンジニアが自分の仕事を黙々やっているイメージでした。たまには打ち合わせもするだろうけど、自分のやるべき実装担当を把握してまた黙々。『「コミュ障」でもやっていける』と聞いても、「そうだろうな。」と納得していました。
これは「プログラマの神話」につながるイメージです。そういうイメージを持っている人はわたしだけではないことが分かりました。
また別のイメージとして、素晴らしいアイディアがあってそれをこっそり黙々(また黙々です。)形に仕上げ発表する、称賛が巻き起こる。これもそうではないと書かれています。確かに、この本を読んでちょっと現実的に考えてみたら想像できました。
極端にまとめてしまうと、一人の天才より(というのがそもそも幻想)、素晴らしいチームの構成員になれる方が大事。人の関係が一番大切で難しい。そのための精神的土台がHRT。それを成り立たせるのはコミュニケーション。だからコミュニケーションスキルがとても重要。
他にも「第2章 素晴らしいチーム文化を作る」の "「文化」という言葉に込めた意味や『強固な文化を構築すると「自己選択的」になる』" や、「第4章 有害な人に対処する」に書かれていることは特に気になりました。第4章はミュニティでの自分の行いを振り返ってみる際の、参考にできます。
「HRT」な扱いは、自分の深いところに降りてくる?
「フィヨルド(大名)」は「HRTが形になっている場所」です。
これまでの人生で一番尊重され、話を真摯に受け止めてもらいました。わたしの言っていることが理解できない時は、理解するための質問が丁寧に投げかけられます。質問するとオープンな場を共有で見ているので、複数の方が次々声をかけてくれます。最初は信じがたいほどでびっくりしていました。「安心安全な場」の素晴らしさを感じます。勉強もしやすいです。
なのですが、、、心理的なことは専門知識がないので想像ですが、HRTは人の気持ちの深いところを揺さぶるのではないでしょうか?
これまでの人生とか家族のこと、自分の辛かったことやあれがよくない思考や行動だったんだなどなど、いろいろ思い出したり考えてしまったりで、幸せでありがたいなぁと、なんだか悲しくて辛いなぁが同居していました。
最終的にスッキリしたのは、先ほども書いたHRTのことを聞いた3回目、「わたし、実際のその中にいるわ」と思った時からです。3つの中で一番できていないのが「信頼」だったと思いました。まず思い浮かべたのは自分の職場です。仕事の根本が「相手は間違うに違いない、ちゃんとやってくれないことをデフォルト」にして組み立ててられています。こういうのを「Team Geek」では「文化」(良い文化も悪い文化もある)だといってるのかもしれないです。
つい直近にも信頼されていないことをまともに示されたことがあり(お互いそうなのですが)、その時の寂しい気持ちを思い出しました。
もうこれからわたしは「やってくれない前提」はやめてしまおうと思ったら、ものすごくスッキリしました。
「HRT」、すぐ自分で実践できるんだなぁと思って、この頃は職場で「やってみる」のが楽しみになっています。
仕事以外でもわたしがこれまでうまくいかなかったことの原因は、信頼が足りなかったのと、オープンじゃなかったからだと思いました。きっとそう。両方つながっていると思いました。特定の何かが怖いんじゃなくて、世間?世の中?を漠然と怖いなぁと思っていたようです。随分いろんなことに気付きました。
2021年 やっていきたいこと
自分のモヤモヤが解決できたので、来年はプラクティスをどんどんがんばります。
チーム(コミュニティ)を信頼して、いろいろ投げかける。問題解決に協力してもらう。「チームは一人じゃできないパワーが得られ達成できる」を実感する。
最後に
「安心・安全な場」の持つパワーってすごいと実感しました。
自分も作っていく気持ちで行いを続けます。(自分も参加できる!)
行き過ぎとか失敗もやってしまうと思いますが、フィヨルドブートキャンプと大名エンジニアカレッジ、そして見守ってくれている皆様、寛大なお気持ちで引続きどうぞよろしくお願いたします。
願いを持つ皆さんに、安全・安心な場と良い学びの環境がありますように。
小さなことしかできませんが、そのために貢献したいです。
(1)「フィヨルド」は本来KomagataさんとMachidaさんのシステム開発会社の正式名称で、「フィヨルドブートキャンプ」はその中の一つの事業です。「フィヨルド」と「フィヨルドブートキャンプ」は別のものなので通常は略しませんが、この記事では「フィヨルドブートキャンプ(大名エンジニアカレッジ)」がとても長くかつ頻出するため略しています。
(2) 2013年 オライリー・ジャパン Brian W. Fitzpatrick、Ben Collins-Sussman 著 角 征典 訳
『Team Geek ――Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか』